
何か有益なことを綴らなくてはと思いはするのですが、「さむい」しか出てこなくて、さむいです。
春でも夏でも基本的にいつでも手足の先が冷たい性質なので、むしろ冬は「いよいよ本番ですね」くらいの気持ちなのですが、やっぱりさむい。自販機でホットのお茶を買って談をとっても、すぐに冷たくなってしまってかなしい。
でも、大人になって、出会う人が増えて、全然寒がりじゃない人も結構いることに驚きました。人類皆寒がりくらいに思ってたのに、冬でもTシャツ着てたり、お家の暖房をつけない人がいたりして。
どうやらそういう人たちは体温が高かったり、そもそも寒いという感覚が好きだったりするらしいです。羨ましいなぁ。
どんな人生なんだろう。
とはいえ、誰かと「さむいですねぇ」といった会話をするのは好きです。
取材先で他のメンバーと集合したときとか、絶対言ってしまう。
もう少ししたらきっと「この頃は暖かいですね」に変わるんだろうな。それもいいな。
気候のはなしは相手との話題がないときにするものみたいなイメージもあるけれど、個人的には積極的にしていきたい所存です。
わからないのが妙味ですよね。会話が続かなかった時のあの感じも嫌いじゃないです。
普段のわたしたちはみんなきっと、意味や利益を考えながら生きているから、とりとめもない無益そうな会話って贅沢だなぁと思うのです。そんな俳句もありましたね。
「さむい」「ねむい」「おなかすいた」は、無益と分かっててもつい言ってしまうのが人ってもんじゃないかと思っています。
でも、夏は「あつい」って言ってる。
文=山越栞
