“I do not know what I think until I write it.”
私はそれを書くまでは、自分が考えていることを知らない。
– George Bernard Shaw(ジョージ・バーナード・ショー)
この月曜日のエッセイを書き始めて気づけば半年が経っていました。公私ともにさまざまな出来事があり、時には「今週は書けないかもしれない……」と思うこともありましたが、みなさんのご感想を読ませていただいては「今週も頑張ろう」となんとか続けることができています。
文章を書いていると、時々「書くこと」が一番よい表現なのか迷ってしまうことがあります。言葉にすることは、ある種食パンからパンの耳の内側の白い部分をくり抜くような行為だと聞いたとき、本当にそうだなと思いました。
言葉にした瞬間、言葉にしなかった感覚は削ぎ落とされていってしまうからです。
言葉にならかった言葉の行く先を想像すると、とても怖くなったんです。自分はいつも大事なものをなかったことにしているんじゃないか、と。
言葉にできるということは、粘土をあれこれとこねるように頭の中でたくさん考え、自分なりに納得のいくかたちにできた状態のこと。
そこで何のかたちか分からないもにょもにょの粘土だって、大事なものだと思うんですよね。
でも面白いもので、言葉にならないことを言葉にすることができるのが、言葉のちからでもあるんです(ここまでで「言葉」が多すぎてこんがらがってきちゃいますね)。
この月曜日のエッセイを書いていると、度々思ってもいなかった話に転がります。最初からゴールを決めていることもあるし、実際多くはそうなんですが、「あ、このままだとうまく転がらないな」って立ち止まることもあるんです。
そのとき何をするかというと、違う道を進んでみる。どうやったら視界が開けるか、地図も持ってないしよく分からないけど、とりあえず歩いてみるんですね。
すると、「こんな素敵なところもあったんだ!」と新しい場所へ連れて行ってもらえることがあります。
言葉にしてみて、初めて自分の気持ちや考えていることに気づいたり。新しい視点と出会ったり。
言葉が言葉を連れてきてくれることを、これまで何度も経験しました。
言葉にすることに対して、少し逃げ腰になってしまうこともあります。そして、きっとこの先もあると思っています。
だけど、そんなときは「ままならなさ」をかたちにしてくれるのが、言葉そのものなんだということを思い出したい。諦めずに言葉にしようとすることは、とても尊いことです。
今週もお読みくださりありがとうございました。日曜日、急にぐっと冷えてびっくりしましたね。暑がりなので寒いのは嫌いではないですが、うっかりしているとすぐ風邪を引いてしまいそうな気温差です。夜はお腹を温めて寝ようと思います。
文=ひらいめぐみ
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