2021.11.17

【オヤツヲタベツツ】ワシオ株式会社さん

スナックミー

――今回は冷えとり特集ということで、「もちはだ」という冷えとりグッズを多数取り揃えているワシオ株式会社の鷲尾岳さんにお話を伺います。「もちはだ」とは具体的にはどんな商品なのでしょうか?

1970年に祖父が開発した起毛の生地を使った防寒着のことです。冬になったら一度着てみていただきたいのですが、とにかくあたたかくて柔らかいんです。会社のミッションとして「世界から寒いをなくす」ということを掲げていて、一日の中で一度も寒いと思わない冬を実現するために、その助けになるようなアイテムを作り続けています。つまり、一年中ずっと冬物を作り続けている会社なんです(笑)。

――1年中!たしかにwebサイトを見るとすべて冬物ですね。もちはだはどんな経緯で生まれたのでしょうか?

まず、私たちの会社がある兵庫県の加古川という地域は靴下の産地なんですね。大きい会社がいくつもあったということではなく、農業の傍ら靴下を編んで暮らしている人が多かったんです。そんな中で「今までにない分厚くてあたたかい生地ができた」という話が祖父の元に舞い込み、これをオリジナル商品にしようとしたのが始まりでした。でも、実はちょっとした裏話がありまして。

――裏話、気になります!

祖父は不良品の靴下を直して販売する商売を先駆けてやっていたのですが、靴下によって売れ行きがうことに気づいたんです。なぜかあるマークがついている靴下がものすごく売れているなと。それなら全部つけてしまおうとそのマークを入れたら、とあるブランドのロゴだったんですよね。あとできちんとお金を払ったのですが……(笑)。祖父はそのとき初めて商標という概念を知ったんです。そこで「オリジナルのブランドを作ったら強い」と、特殊な生地の出会いも重なってオリジナルの製品を作りはじめました。

――「もちはだ」の誕生にはそんな背景があったのですね……!あたたかさの秘密についてもぜひ教えてください。

もちはだは普通の起毛とは全然違った製法なので、すごくあたたかく感じられる仕組みになっています。パイル地を編みながら起毛するのがうちの特徴で、編み機にそもそも起毛する機能がついているので、起毛の方向が横向きなんです。

――起毛の方向が横向き、ですか。

一般的な起毛は、縦方向に生地の表面を割いて毛羽立たせているんですね。一方でもちはだのように横向きに起毛させると、糸の頭の部分の毛を起こしていくことになります。

すると、糸を切らずに繊維が起こされた状態になるので、上の起毛した部分と下のパイルの中にも空気が溜まり、身体と外気の間に空気の膜が二層できるんです。二重構造になっている魔法瓶を想像すると分かりやすいかもしれません。

――たしかに魔法瓶にあたたかい飲み物を入れておくと、ずっとその温度が持続していますね。

もちはだは空気を滞留させて、熱を逃がさないんです。つまり、着ると発熱するわけではなく、体温を逃がさない「保温」の仕組みですね。だから僕たちは「寒いをなくしたい」という表現を使っているんです。

――発熱ではなく保温によってあたたかく感じるんですね!では、これから寒くなっていく冬に向けて、まずはどんなアイテムを取り入れると良いでしょうか?

手首、足首、首を冷やさないようにするのがポイントですね。あたためた方がいいとはよく言われると思うのですが、ここは太い血管が皮膚の薄い場所に出ているところなんです。そこを冷やしてしまうと、中を通る血が冷え、身体も冷えてしまうんですよね。なのでリストウォーマーや手袋をしたり、靴下を履いたり、ネックウォーマーをすることで、外気からの冷えを防ぐことができます。冬になるとブーツを履く方が増えますが、実はこれはかえって逆効果で。

――足首もしっかり覆ってくれて良さそうに思うのですが……。

ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれていて、血液を送るポンプの役割を持っています。ブーツだとここの筋肉を使わなくなってしまうので、血の巡りが悪くなってしまうんですよね。血の巡りの点からすると、スニーカーの方がいいんです。

また身体の構造上、内臓が冷えていると手先、足先が冷えていきます。運動不足で血流が悪い人の場合、内臓が先に冷えている場合が多いんですよ。そこで手先、足先をあたためてもあまり効果は得られません。

――思い当たる節がある人も多そうです。

大事なのは食事もそうなんですが、腹巻きなどでとにかく内臓をあたためることが必要です。内臓は冷えているのを自覚しづらいので、見落としがちですよね。

――となると、冷えが気になる方はまず腹巻きを身に付けるのが良さそうですね!

そうですね。寒さで悩んでいる方は、ぜひもちはだを使ってみていただきたいです。そもそも寒いってシンプルに嫌じゃないですか。「朝布団から出られない」とか「寒くて何枚も厚着するから着膨れしてしまう」とか。そういった寒いことで損してしう時間を、製品づくりを通じて少しでも減らしていきたいと思っています。

ワシオ株式会社 鷲尾 岳

「世界から寒いをなくしたい!」をコンセプトに独自の起毛素材を開発し、1970年に誕生した国産ニットブランドの三代目。オリジナル商品の「もちはだ」はインナーを始め、ルームウェアや靴下などさまざまな防寒グッズを取り揃えている。


文=ひらいめぐみ・編集=山越栞

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