
季節のうつり変わりを、においで感じる人がいます。四季がある日本では尚更そうなのかもしれません。
においには、確実に「○○のにおいだ」と定義できるものと、そうでないものがあるような気がします。季節の変わり目に感じるあのにおいは後者かな。と、個人的には思っているのですが、どうでしょう?
日々のたわいもない会話のなかで、季節のにおいに関してのさまざまな言及を耳にしてきました。「都会よりも田舎の方が顕著だ」とか「においが変わる理由は大気の変化だ」とか「そもそも気のせいだ」とか。なんとなくですが、そういった「季節のにおいトーク」はいつもふんわりとして定まりがないように感じます(においだけに…)。
真偽のほどはひとまず置いておくことにして、そんな話を取りとめもなくできる場面がとても好きです。
そういえば、10代の頃に読んだ青春漫画に、ヒロインと男の子が同時に「あ、冬の匂いだ」と言って恋に落ちるシーンもあったなぁ。ふと独りごとが口をついて出てきてしまったなぁくらいの、てきとうに受け
流してもらってかまわない雰囲気で、つい「あ、匂いが変わった」と言葉にしたくなる。そういう瞬間って、大人になればなるほど貴重なものになっていくように思います。
もうそろそろ、秋のにおいがしてくる頃でしょうか。
『3PMmm…』編集担当 山越 栞
こわ〜い話
