
モヤモヤやむしゃくしゃする感情が続くときは「2000円までは許容範囲」と自分にルールを決めて、お花屋さんで好きな植物を買っていいことにしています。
これをするようになったのは、岡崎京子さんの漫画『pink』を読んでから。
自分が生まれる前に描かれたものではあるけれど、「マンガは文学になった」とまで賞されたその世界観を知らないのは損な気がして(あと表紙がかわいくて)、古本を購入したのです。
主人公で一見ごく普通のOLユミちゃんは、一人暮らしの部屋でワニ(!)を飼っています。好きなことにお金を使うために夜の仕事を掛け持ちしていたり、小説家志望のボーイフレンドをふりまわしたりと、欲望に正直で自由奔放なユミちゃん。
でも、ふとした瞬間に虚無感に襲われることもある女の子です。そんなときに作中でよく登場するのが植物。
彼女が仕事帰りにピンク色のバラの花束を買って抱えて歩き、部屋に飾って見つめているシーンが最高にかっこよくて、いつかやってみたいことのひとつになりました。
他にも、ペットのワニのために部屋を観葉植物でいっぱいにして、熱帯雨林みたいにする場面も忘れられないなぁ。
全体に「資本主義」と「自由」と「虚無」みたいなものがメッセージとしてあるなかで、植物も主人公の心理描写において大事な役割を担っているように思わされる作品でした。
自分がお花屋さんに足を運んだときには、枝がしっかりしていて、ほぼ木みたいな、サイズが大きなものを買うのが好きです。
自分の背丈の半分くらいある植物を抱えて街なかを歩いていると、森の民にでもなったような気分で、自然と愉快になってきます。家に飾っても存在感があるので、おすすめです。
文=山越栞

絵=3PMmm…編集部
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