2021.03.09

【オヤツヲタベツツ】フルーツいしいさん

スナックミー

ゲストといっしょにおやつを囲んでフリートークを楽しむ企画。

おやつに関係ある話も、全く関係ない話も飛び交います。

おやつを食べているときって、そんなものなんじゃないだろうか。

-今日は、「フルーツいしい」さんの農産物に合った土づくりのお話を中心に伺いたいです。

良い土というのは、その土地で何万年と世代交代してきた微生物を活かし、土地に合った農産物を、無理なく美味しく育てられる状態が整った土のことだと思っています。

これは有機栽培とも少し違います。有機栽培は、自然由来の肥料や農薬を使用する農法ですが、自然由来だから植物や環境に良いとは言いきれないし、足りない部分も多いように思います。

それよりも、もともとその場所の土の中にいる微生物の力で、農作物の育成に必要な養分を吸収しやすい形に変えてもらう。自分たち生産者は、これらの微生物が活動しやすい環境をつくる手助けをする立場だと考えています。

-なるほど。「新しいものを足す」のではなく、「もともとあるものを活かす」という考え方なんですね。

はい。人間だって、薬やサプリをたくさん飲んで健康でいるよりも、普段から整った栄養を摂取していて健康な方がいいしょう?

-それは本当にそうですね……。

農作物の栄養源である肥料は、微生物のエサとなる大豆粕やカニガラ、魚粕などの自然界にある有機質で作物が必要とする成分の配合割合を考物が必要とする成分の配合割合を考物が必要とする成分の配合割合を考え、微生物が吸収しやすいようにして土の中に入れてやります。

また一般的には化学肥料に頼りがちな成分についても、グアノやパームヤシなどの天然資材を使っています。

-土地の微生物にとって良いものを厳選しているのですね。ちなみに、土地に合っていないものを作るとどうなるのでしょうか?

その年の天候にもよるけれど、無理をして作ると病気になったり虫がついたりして、結局は農薬をたくさん使わざるを得なくなります。だから、その土地らしく育てるのが大事なんです。

ここ会津は、農作物を作るうえで本当に恵まれた場所。周りが山に囲まれている盆地なので、夏場は30℃以上まで上がるけれど、夕方からは山から冷気がおりてきます。人間もちょっと肌掛けが必要なくらいになるので、植物も夜にゆっくり休めて健康に育つんです。

他の地域に住む生産者仲間に「なんで石井さんにもらった野菜はこんな甘いの?」と聞かれることもありますが、農作物の旨味成分を増やすには、1日の温度差があればあるほど良いと言われているんです。

今は、ハウス栽培で肥料をたくさん与えることで、通常の何倍もの速さで農作物を成長させる作り方もあるけれど、それだと栄養価も味も落ちてしまう。だけど、店頭に並んだ状態のものしか知らないと誤解も生じがちです。

例えば、ほうれん草なんかは「緑の色が黒々と濃くて美味しい」とよく言うけど、実は濃さの理由はあまり消化されない成分が残っているからなので、苦味を感じるはずなんですよね。必要以上に色が濃いよりも、やっぱり自然体の色味のものが栄養もあるし、旨味もしっかりしていると思うんです。

-植物も人も、自然体でいられる環境でのびのびと育つのが理想ではありますよね。

実際に農園に来てみてもらったらイメージがつくと思うけど、農作物を見て、美味しく栄養たっぷりに育っているかを見極めるポイントもあるんです。

葉っぱが大きくてだらんと開いているようだと、栄養分を作り出すよりも成長にエネルギーを使ってしまっている状態で、反対に葉っぱが小さくても厚みがあってピンと立っていれば、栄養分を作る光合成が活発な証拠。

そんな風に、普段食べているものが育つ様子を見て、消費者の人たちも判断できるようになるといいですよね。

-消費者としては、つい「プロにお任せすれば大丈夫」と安心してしまいますが、石井さんのような生産者さんに直接そう言っていただけると興味が湧いてきました!

コロナ禍は難しいかもしれないけれど、落ち着いたら実際に来て、見て、収穫してみて、「食べる」という行為の意味を考えるのもいいかもしれないですね。

農家の人が送ってくれるから、というだけじゃなく、「今回これ美味しくなかったよ」とか「前はこうだったけど今年のはここがちょっと違う」などの声が消費者さんから我々のもとに届くことも、これからは大事なんだと思うんです。

-ほんとうの意味で、消費者が食に目を向けて生産者さんとつながっていくって、そういうことなのかもしれませんね。

プロだからって正しいとは限らないし、考え方や捉え方が間違っている場合もあるかもしれない。作る側も食べる側も一緒になって、自分たちの食と向き合っていけたらいいですよね。

手元に届く前の農産物がどうなっているのかを知ると、食の安全や美味しさに関しても新しい発見があるかもしれません。


フルーツいしい
福島県会津美里町で年間約40種類の桃や約30種類のリンゴ、キノコやアスパラガス、会津特有の「みしらず柿」などを栽培。snaq.meでもお届けしている「葉とらずりんごスティック」の生産者。今回は社長の石井成治さん(写真左)にお話を伺いました。
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取材・文=山越栞

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