
大切な人をよろこばせたいとき、あくせくと働く足が花屋へ向かう。
ふとキッチンに飾っておいた花のつぼみがある朝ひらいていることに気づき、嬉しさでつい話しかけたくなる。
コンクリートジャングルに疲弊したら、緑に満ちた場所で深呼吸し、子どもたちは原っぱで小さな手に小さな花束を握る。
植物が私たちに与えてくれるものとは、一体何なのだろう?
ヒントを探りに、様々な距離感・取り入れ方で植物と暮らす人びとにお話を聞かせてもらいました。
あの人の、植物と暮らし

昔、実家の庭先に花が咲くと、母から外出前に一目見ていくように引き止められていた記憶があります。それが今の仕事に繋がっているのかも。

自宅用のお気に入りの植物は仕入れ先で見つかることもあるし、旅先で出逢って連れて帰ることも。

サボテンなどの造形に力強さのあるものが好きで、自然と多く集まってしまいます。20年ほど前に買った観葉植物もまだまだ元気!
アトリエを自宅に移してからは、切り花を常に各部屋に飾るようになりました。

お部屋のなかに小さな自然を手に入れることで、季節感や時の流れを感じさせてくれるのが、植物のある暮らしの魅力なんじゃないかな。
手入れを通して気持ちが「整う」要素もあるし、アートやインテリアの一部としても役立ってくれる、たいせつな存在です。
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大類 淳子 Junko Orui
piLi flower design works フラワーデザイナー。企業勤めを経て、ある日花屋を目指す。生け込みやイベント装花、ギフトフラワーなど様々なシーンでの花の提案をしている。

自然が作り出す造形美からクリエイティブの本質を知る

頂いたお花を飾ったり、季節の珍しいお花を買ったりしています。お花の名前を知るのは、まるで新しい場所に出かけるようで、とても楽しい行為。飾るときはシルエットや色を見ていたいので、出来るだけ1,2輪で生けて背景が白い所に置くことが多いです。

クリエイティブな仕事をする上でも、お花は目を肥やすのにとても大事な存在。人がつくった美しさからインプットするのも大事ですが、やっぱり自然の中にある美しさには叶わないものがあると思っています。
お花が部屋を明るくするだけじゃなく、葉脈の造形や花の色の美しさ、柔らかさ、影の形などを見ているだけで、ふと本質に立ちかえらせてくれるんです。

香りが良く、料理にも使えるローズマリーを栽培中。

2020年12月には、UNIQLO TOKYOにてロスフラワーを使ったディスプレイを担当(銀座UNIQLO TOKYO×株式会社RIN)
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-profile-
五味 春佳 Haruka Gomi
クリエイティブディレクター。株式会社CRAZYにて結婚式の装飾・演出を手掛けた後、2020年11月独立。イベントなどの空間・体験設計、企画、制作、ディレクションの他、事業のブランディングなどを行う。

そこに花があることで感じられる「光」の美しさ

太陽の柔らかい光が好きなので、なるべくたっぷりと日が当たるところにお花を置いて鑑賞しています。花びらが光で輝いたり、水の入ったガラスが透けて見えたりと、光に個性が生まれて、見ていて飽きないんです。

生花を飾るときは、ファッションコーディネートのように花瓶との組み合わせを考えながら選ぶと、部屋の雰囲気を定期的に変えられるのが楽しいです。

それに、定期的な水やりなどで「自分以外の存在のため」のルーティーンができるのも良いですね。例えそれが植物であっても、他者のために何かをしている感覚を持てると、自分にもっと肯定的になれる気がします。
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平岡 雄太 Yuta Hiraoka
ものづくりに特化した株式会社ドリップの代表取締役。個人としては YouTubeチャンネル「平岡雄太/ DRESS CODE.」(登録者15万人)を運営し、趣味であるガジェットやモノについて発信を続けている。

編集=3PMmm…編集部
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