2021.04.07

【COLUMN】フェアリー

スナックミー

こだけの話なのですが、小さい頃から“妖精”が見えるんです。

んびりした性格なので、ふとなにもない空間を眺めていることが多い子どもでした。

っと気づくと、“それ”はまるでモヤのかかったようにボヤけて宙を漂っていました。

んとはなしにそれを見続けていると、だんだん輪郭が鮮明になっていきます。

かし、子どもながらに「これは見えちゃマズイものだ」と分かったので、そのとき

誰にも話さずに、平静を保って友だちの会話の輪に戻りました。

まく取り繕うことを、ギリギリできるような年頃ではあったみたいで。

れからというもの「見えちゃマズイもの」はときどき現れるようになりました。

も、その実態がなんなのか、さっぱりわからないのです。

こしでも近寄ってよく見ようとすると、夢から醒めたみたいに消えてしまいます。

っぽどボーッと一点を見つめているときは、周りの人に顔の前で手を振られることも。

つからか、私はそれを“妖精”と定義づけることにしました。

っきりと“妖精”の形をしていたわけではないのですが、お化けって感じでもないし。

んるんと散歩をしていても現れるので、きっとピーターパンに出てくるティンカーベル

具現化したら、こんな風に概念化されたような見え方をするんじゃないかな、なんて。

ると不思議で、たしかにそれは妖精以外の何ものでもないように思えてくるのでした。

めんなさいと思いつつ、ぼんやりしているときは「妖精がいる」ことにしてきました。

かし意外とみんなすんなりと受け入れてくれるので、なんだか逆に不安です。

っきり「不思議ちゃん」とか「ヤバイやつ」と言われると思っていたのに。

だらない冗談だと周りは流してくれるけれど、“妖精”は今も私のそばにいます。

って、原稿に詰まって言葉がでてこなくなったときは「こんなのどう?」と耳元で

さやいてくれるもん。

つも助かっています、ありがとう。妖精。

んて書いたのですが、できれば今すぐ一番左を縦読みしてください。よい春を。

文=山越 栞

編集者・ライター、ときどきエッセイスト。1991年栃木県日光市生まれ。十代から茶道を続けており、身近な日本文化の発信がサブテーマ。


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