
小学校時代の友人と、久々にご飯に行った。
先生「今月の遠足に持っていけるおやつは300円までです」
生徒「先生、バナナはおやつに入りますか?」
というやりとりを、私たちは聞いたことがなかった。
私たちは特にバナナがおやつに入る入らないの話はリアルの場ではしていないのだが、コントや漫才で鉄板ネタとして見ていたので、あたかも当時やりとりがあったと感じるのかもしれない。
そのため老若男女にバナナはおやつに入る入らない話は有名で永遠に二手に分かれる。
どっちが良い、悪いがあるわけではない。
ただ事実として、56年前の東京オリンピックの時のバナナの価格※(228円/kg)と現在のバナナの価格(201円/kg)は変わってないということ。もはや少し安い。
物価視点で考えると当時の映画の料金が200円強であり、中華そばが60円くらいということを考えると、当時の物価は今より安く、バナナは高級品だったと言ってもいいかもしれない。
ではなぜ、バナナはおやつに入るのか入らないのか議論するようになったのだろうか?
他の果物はおやつに入らないのだろうか?と友人と盛り上がる。
考え出すときりがないが、果物の中でバナナは絶妙な選定だったと思う。
校外活動となる遠足では動きに強い必要がある。
その点、バナナは
- 傷んでも品質は落ちない
- 持ち運びがしやすい
- 疲労回復に優れている
などのメリットがある。他の果物を持っていくと傷み食べられなくなる可能性も出てくるが、その点バナナは1日経っても平気。
仮に、バナナはおやつに入らないとすると、食後に果物を食べたいのであればバナナを持ってきて欲しく、他におやつを用意してもいいというスタンスだったのかもしれないと友人との間では結論になり、帰りの支度をした。
友人と別れた後もバナナとおやつについて考えている自分がいて、あることに気づく。
なぜ、“お菓子”は300円までと言わず、“おやつ”は300円までと言うのだろう。
先生がよく言ってた「家に帰るまでが遠足です。」を加味すると、おやつを食べることも遠足。全て込みで遠足。
バナナがどうこうではなく、遠足を通じておやつ体験を演出させたかったかもしれない。
そう思うと笑みがこぼれ、家に着いた。
「明日、バナナを会社に持って行こう」
※出典:総務省「前回東京オリンピック時(1964年)と現在の日本の状況」より
https://www.soumu.go.jp/main_content/000294409.pdf
文=山越栞