“立ちどまらなければゆけない場所がある。
何もないところにしか見つけられないものがある。”
長田弘
先日母と電話をしていたら、ふと幼馴染みのFちゃんの話になりました。
彼女が看護師として働いていると聞き、幼稚園の卒業アルバムに載せる将来の夢のことを思い出します。
というのも、そのときわたしには将来の夢らしい夢がなく、Fちゃんの真似をしてかいたのが「かんごふ」でした。
すごいなあ、Fちゃんは小さいころからの夢を叶えたんだなあと感心していると、どうやらめぐりめぐっての偶然だったよう。たしかにやりたいことなんて大人になっても分からないもんな、と気づきました。
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中学生になってから「検察官」という職業があることを知ります。
困っている誰かの役に立てる、まさに思い描いた職業。
じゃあ法学部に行こう、と勉学に励みました。
大学は一浪の末、志望校には受からずともかろうじて法学部に入学。しかし、7年抱いていた夢がある日パリンと砕け散る出来事が起こりました。
それは、基礎ゼミでの初日。教授がある一言を放ちました。
「法学部に入学してくる学生は法曹界に憧れを抱いてくる。だけど、弁護士も、検察官も、裁判官も、人の不幸の上で成り立つ仕事だからね。それを勘違いしてはいけないよ」
今になって思えば仕事は誰かのできないことを代わりにすることであって、みんなが自分で自分のことを全部できたら仕事なんて必要なくなってしまう、と理解できますが、そのときはガーンときちゃったんです。
それから、将来こうなるであろうと途中まで描いていた絵が、まっさらになってしまいました。
結果的には、人生をかけてもいいと思えるほど別のやりたいことが見つかり、きっと検察官を目指していたら出会えなかったひとたち、経験できなかった素敵なことにたくさん恵まれました。
今はまた別のことを仕事にしていますが、あのときこれからの人生設計が一度白紙になったから、他の道ができたんだろうなと思っています。
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目の前のことを一生懸命やることで、見えてくることもあります。
一方で、当たり前と受け止めていることを妄信せず、少し心を空っぽにしてみる時間をつくったり、距離を置いてみると、これまで気づかなかった景色に気づくことができるかもしれません。
さて、今週も最後までお読みくださりありがとうございました。不安定なお天気が続きますが、ごきげんな曲を聴きながら過ごしましょう!今週も楽しい一週間になりますように。
文=ひらいめぐみ
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