


“僕はいったいどうすればいいのだろう?
でもどうすればいいのかは僕にはわかっていた。
とにかく待っていればいいのだ。
何かがやってくるのを待てばいいのだ。”
–村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』
みなさんはバッターボックスに立ったこと、ありますか?
隠喩ではなく、目の前にピッチャーが構えている本当のバッターボックスです。
どんな球が飛んでくるんだろう。変化球かな。ここはあえてストレートだろうか。二塁にランナーがいるから打たせて捕るつもりかもしれない。
実際にバッターボックスに立つと、冷静な気持ちと、結果を出したいという気持ちが入り混じっていたと思います。
野球部に所属していた高校生の頃、初心者で唯一の女子部員だったわたしは、ごく稀に練習試合で打席を立たせてもらえることがありました。一年前まではゴロもまともに捕れなかった人間です。練習試合に出られるだけありがたいことでした。
見逃し三振だけはしないぞ。ぜったいに打てなくてもバットは振るんだ、と意気込み、空を大きく切ります。
ところがボールがバットに当たる音は響きません。審判が三振を告げ、とぼとぼベンチへ戻りました。
何でみんなみたいにカキーン!って打てないんだろう。フライの落下地点が見極められるようになったり、ルールも少しずつ覚えてきたのに、どうしてもバッティングだけはうまくなりません。
悩みながら練習に参加しているある日、部長のTくんがわたしに向かってこう言いました。
「ひらいさん。待ってたらボールは来るから」
最初はどういう意味なんだろうと、ちゃんと理解するのに時間がかかります。
だって、ボールはすごいスピードで飛んできて、待ってる時間なんてないから。
だけど、たしかにわたしはいつもボールを自分から迎え入れるように、早いタイミングでバットを振ってしまっていたことに気づきます。
“待ってたらボールは来る”。
この言葉を教えてもらってから、少しずつ前にボールを送れるようになっていきました。
—
現代において「行動を起こすこと」は、賞賛されるべき行為というイメージがあります。
一方、「待つこと」は「何もしないこと」と混同されがちです。
だけど、果物の実がなり始めた時より熟した時の方がおいしいように、「行動すること」と「待つこと」は、本当はセットなのかもしれません。
無理をしない程度に小さな行動を続けること。まだ自分の身の丈に合っていないなと思うことは、少し待ってみること。
打席にさえ立っていれば、ボールはちゃんとやってきますからね。
さて、今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
とはいえ、ボールを待つのって意外と難しいんですよね。久しぶりにバッティングセンターに行きたくなりました。
文=ひらいめぐみ
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