“さよならだけが人生ならば また来る春はなんだろう”
-寺山修司『幸福が遠すぎたら』
「クラス」という単位の社会に身を置いていたころ、毎年どうして春になるとクラス替えをするのかとても疑問でした。人との関係を築くのにはとても時間がかかるもので、やっと仲良く慣れたと思ったタイミングでクラス替えをするのはもったいないと思っていたんです。
実際中学2年生の冬になって「仲良くなってみたいなあ」と気になっていた子がいたのですが、クラスがばらばらになったことで距離を縮められないまま卒業してしまいました。
各クラスの色もできてくるのに団結したところで春にはふりだしに戻されるので、春には少し虚しさも混じった感情があった気がします。
それでも、そわそわしながらだんだん新しいクラスに馴染んでいくんですよね。そして、クラス替えしたことで新しい友だちが増えていきます。
今になって思えば、もしかしたらクラス替えって、別れの予行練習だったのかもしれません。
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子どものころに経験する別れの多くはクラス替えや転校、卒業というそのときだけのイベントごとです。
一方、大人になると転職や転勤、恋愛の別れ、離婚、死別、何となく疎遠になるなど、予測できるものから予測できないものまで、さまざまな別れが訪れます。
いつかは別れがやってくること。そのことに悲しみながらも、新しい出会いを受け入れること。それを本当に肌で感じることができるのは、やっぱり実体験なんですよね。
だから、わざわざ別れの場が用意されていたのかもしれません。
別れの悲しさを知っている人は、出会いの可能性を信じられる人でもあります。
出会えた人の中で仲良くなったりいい関係を築くことができるというのは、ありふれたことじゃなくて、とてもとても尊いことなんだと思います。
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今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
寺山修司さんの詩には続きがあり、この詩が生まれた背景も調べると出てきます。だけど、このひとつのフレーズだけでなんだかぐっときてしまう。不思議な言葉です。
文=ひらいめぐみ
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