“Happiness is a way of travel, not a destination. ”
幸せとは旅の仕方であって、行き先のことではない。
–Roy Matz Goodman (ロイ・M・グッドマン)
お気づきの方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、先週この月曜日のエッセイはおやすみしていました。
包み隠さずお話しすると、先々週にコロナウイルスに感染してしまい、ウンウンと熱と格闘していたのが理由です。これまでの人生でインフルエンザにかかったこともなく、高熱が出る経験を初めてしたもので、「これが熱というやつなのか……」と朧げに感じていたことだけが何となく記憶にあります。
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そんなわけで、先週は(幸い空きもあって)療養先のホテルで宿泊していたのですが、もう久しく旅行にも行けていないので、ホテルに泊まるのは本当に久しぶりでした。
わたしはお金をかけない旅行がとても好きで、特に長距離の移動のときはなるべく夜行バスで行くようにしています。なぜなら、ちゃんとはるばるやってきた感じがするのと、早朝の街に降り立つ瞬間の空気がとても好きだから。
街が賑わってくるまで時間をつぶせるのは大体大手ハンバーガーチェーン店なんですが、眠気まなこで空が明るくなっていく窓の外を眺めるのも愛おしい時間なんですよね。
今はさすがに療養のための宿泊をしているので、食事を1Fのロビーへとりにいく時間以外は部屋から出ることはできません。ただ、長期の旅行のときは特に「一日中部屋から一歩も出ずにだらだらする」というのをよくやっていたので、そんな気分で数日を過ごしていました。
ビジネスホテルなので、部屋にあるのは必要最低限のものだけ。湯沸かしポットと、小さな冷蔵庫、PCがぎりぎり置けるくらいの幅の小さなデスク。いつもの家とは違う、限られたものだけの部屋で生活していると、だんだんその差に面白さを感じられるようになってきます。
たとえば、鏡の数。5~6畳ほどの1ルームなのに、大きい鏡が3枚もある。デスクの前、入り口の姿見、浴室の中。思い返してみれば、ホテルってすごく鏡が多い気がします。
次に、照明。これも数の多さに驚きました。入り口、天井、浴室、デスク、ベッド……なんと5箇所も。わたしの自宅はというと、ベッドにもデスクにも専用のライトがないので、しっかりと部屋全体が明るいか暗いかの二択になります。
部屋の明かりを使い分けることで、仕事に集中しやすかったり入眠しやすかったりするんだ、ということに気付かされました。
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扉の言葉であえて「旅」をテーマにしたものを選びましたが、実際「旅」というのは行き先が重要なのではなく、その時の自分の心持ちや感情の機微に気づくことが醍醐味なのだと思います。
今は新型ウイルスの患者数が日に日に増えてきている中で、ますます旅行がしづらい状況が続いていますが、もう少し落ち着いてきたら、家ではない別の場所、ホテルや宿泊施設に泊まってみるだけでもいいリフレッシュになるかもしれません。
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もしあいにくわたしと同じような状況になってしまって今まさに荷造りをしている、療養先を手配している、という方がいたら、お気に入りの香りと、ふりかけ、インスタントスープやお湯を注げば飲めるホットドリンクなどを持っていくことをおすすめします。わたしの場合は無印良品のおやすみブレンドのスプレーと実家から送られてきたはまぐりのお吸い物にとても助けられました。
なにより、みなさんが健康であればそれだけで嬉しいです。どんよりとしたムードが続きますが、今週も何か心ときめく瞬間と出会える一週間になりますように。
文=ひらいめぐみ
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