2021.05.29

むかし住んでいたまち|ごきげんの定点観測

snaq me

元気がないとき、いつも近くにあったもの。ふと無意識にしていた習慣。

小さいころのおやつ時間のような、自分を自然とごきげんにしてくれたもの/ことってなんだっけ。

これまでのごきげんを定点観測してみて、見つけたことを綴ります。

上京してから、4回の引越しをしてきました(と言っても最初に住んでいたのは埼玉のふじみ野という場所で、正確には東京の住所ではなかったのですが)。

だけど、地元からははるかにアクセスがよかったし、通う場所が東京にできただけでまるっきり世界が変わったように感じたのを覚えています。

新宿駅、空港みたい!とか。丸ノ内線数分おきにめっちゃくる!アトラクションの乗りものみたい!とか。

ちなみに高校時代、友だちと一回だけ東京へ行ったときは、ベタに原宿でクレープを食べるというのをやったんですが、なぜか向島にも行き、おまんじゅうを食べ、半分しか建設されていないスカイツリーを見ながら「この景色は今しか見られないね」なんて話をしました。いい思い出です。

引っ越すときは前提として更新のタイミングがあることで次どうしようか、と考えます。住み続けるのか、違う街に移るのか。

わたしの場合は転職回数が多く、そのときの職場との距離が遠くないところを選んでいました。

だからなのか、過去住んでいたまちには、その当時の自分がまだそこに住んでいるような気持ちになります。

今の家に住んでからすでにスナックミーは3社目なのですが、過去働いた職場で言われた言葉が、転職してからもずっと胸につっかかっていました。

職種も会社の文化も違うし、気にしなくていいと頭では理解してみても、今の家にいると当時の自分と同じ景色を毎日見ていて、心持ちだけで変えるのはとても難しいなと思ったんです。

そこで、ふと前に住んでいたまちのことが浮かびました。駅前の広い喫茶店、きれいな老舗の銭湯、ちょっと駅から離れたおいしいパン屋さん……。

住み慣れたまちなら、楽しみ方も分かっています。

あそこに行けば、心が軽くなるかもしれない。そんな予感がして、まだ自粛が緩和していたころに、ふらっと向かいました。

当時家の近くのパン屋さんへ入ると、小さい子がおかあさんにメロンパンをねだっていたり、イートインのテーブル席で年配の方が静かに本を読んでいたり。

一気に住んでいたころの生活を思い出しました。

いつも買うメロンパンとカレーパンをほおばり、お気に入りの本をひらく。

目の前で少し早い桜が咲いていることに気づいたとき、ああ、もう大丈夫だ、と思いました。

こころが忙しくしているタイミングはいつも、季節のお花に気づけないから。

今の自分がいないまちだから、無関係な人間として過ごせるというのもあるかもしれません。

だけど、自分を変えるのが難しかったら、過去の自分のいた場所に戻ってみるのは意外といい気分転換になります。

いざというとき気軽に行ける距離だとなおいいですね。

そういえば、他のみんなはむかし住んでいたまちに遊びに行くことってあるのかしら。

写真・文=ひらいめぐみ


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