“Poetry is a word that did not become music, and music is a poem that did not become words.”
詩は音楽にならなかった言葉であり、音楽は言葉にならなかった詩である。
– Hermann Karl Hesse(ヘルマン・カール・ヘッセ)
5年前、兄に誘われ、初めてライブに行きました。音楽は好きだったけれど、ライブに行こうと考えたことはなかったので、月並みの表現ですが「生の演奏ってこんなに違うんだ……!」と終始感動していました。
味をしめたわたしはそれからというもの、好きなアーティストや音楽家の方のライブに行くようになっています。
その中で最も印象的だったのが、とある音楽家の方のコンサートです。
生演奏の臨場感もさることながら、ひらがなやアルファベットよりもずっと少ない種類の音数で、どうしてこんなに人の心の胸を打つ曲ができるんだろう、という驚きでいっぱいでした。
まだ当時は文章を書く仕事はしていませんでしたが、あのときの情景を思い浮かべると、やっぱりすごいなあ、文章にはできない表現だなあ、と不思議な気持ちになります。
どんな詩も音楽も、誰もが使っている文字や音で構成されています。ある枠組みの中での記号の羅列なんですよね。その記号をどう並べていくか、考えることが創作ということになります。
だけど、私自身ときどき言葉の感覚に行き詰まることがあるんです。この感情を言葉で当てはめたときに果たして正確な表現になっているのか。伝えたいことを言葉で表そうとすると、読んでくれた人がもしかしたらわたしは望んでいない感情になってしまうんじゃないか、と。
そんなとき、自分の表現方法に音楽があったらどんなにいいだろうなと思いました。言葉にならない感情、音にならない感情もきっとあるから。
だから、馴染みのある楽器がひとつでもあって、言葉の表現も好きな方はとても強いなと思います。
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今週のエッセイは先週の続きでもあったのですが、あのあとピアノ教室の体験教室を申し込み、週末に行ってきました。今年からピアノ一年生です。来年には好きな曲が弾けるようになっているといいなあ。
文=ひらいめぐみ
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